2020年2月19日水曜日

令和元年度兵庫支部研修会 第3回資格更新研修会


日時:215日(土)1330分から1630

 

場所:ラッセホール 地下1階 リリー



参加者:兵庫支部  58 名  他支部  20  名  合計  78 名



 「包括的心理アセスメントと発達支援」というタイトルで、京都市児童福祉センターの古田直樹先生にお越しいただきました。

  古田先生は約35年にわたり臨床発達心理士また臨床心理士として多くの子どもたちや保護者の方とかかわり、アセスメントと発達支援を行ってこられました。「発達障害児と保護者を支える心理アセスメント」等、ご著書も多数出版されており、是非一度、古田先生から包括的心理アセスメントに関するお話しを頂戴したいと考え、本研修会を企画させていただきました。 

 当日の研修では、様々な視点からアセスメントの在り方に関する多くの話題が語られました。以下、印象に残った話題について紹介していきます。まずフォーマル・アセスメントとインフォーマル・アセスメントの違いについての説明では、フォーマル・アセスメントが「あらかじめ用意された<問い>」であり、子どもの継時的変化を捉えたり、十分に熟成された能力を測定したりすることはできるが、ヴィゴツキーが述べているような発達の最近接領域を見ることは難しいことが指摘され、むしろ検査の文脈から離れ、その人を知るための<問い>であるインフォーマル・アセスメントの重要性が語られました。またアセスメントにおいて数値化だけに頼ることの問題についての話では、一回の検査や単一の検査で判断することの危険性について語られました。自閉症に関する話題では、視覚支援が有効な理由として視覚の優位性が良く指摘されますが、実は自分の視点を離れることの難しさから生じる自閉症特有の文脈の共有のしにくさが根底にあり、それが他者との視点共有の困難さにつながるといった説明や、自閉症における因果関係の理解の困難さが、歴史性の喪失と呼ばれる時間の一方向性の理解の障害に起因することなどが語られました。この他にも、療育においては子どもに「この人と遊びたい」と思われる関係性や、言語訓練では「この人としゃべりたい」と思われる関係性をつくることが重要など、臨床家として改めて気づかされる言葉が多く語られました。まだまだ紙面に書ききれない多くの貴重なエピソードやその解説が語られましたが、長年実践家として活躍されてきた古田先生のご経験に即した多くのお話しに深く感銘を受けた研修会でした。



令和2年度兵庫支部総会、第1回資格更新研修会(1区分)の開催のお知らせ(予定)
日時:令和2年5月9日(日)13:15〜16:50
場所:ラッセホール(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目108)
・兵庫支部総会 13:15〜
・第1回資格更新研修会 13:50〜 

   ※詳細は兵庫支部のホームページ及び電子メールでお知らせします


◎兵庫支部からのお知らせ
 研修会のお知らせは全てメールとホームページでのお知らせのみとなっております。メールアドレスを変更された場合には、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム<SOLTI>から変更手続きをしてください。