日時:11月30日(土)13時30分から16時30分
場所:神戸市教育会館 6階 大ホール
参加者:兵庫支部 67 名 他支部 45 名 合計 112 名
「自己制御能力・実行機能の発達と支援」というタイトルで、佛教大学教授・兵庫教育大学名誉教授の松村京子先生にお越しいただきました。
松村先生は日本臨床発達心理士会兵庫支部の前支部長として、本会の発展にご尽力されてこられました。兵庫教育大学を昨年ご退職後、現在は佛教大学において教員養成に携わっておられますが、是非一度、松村先生のお話しを頂戴する機会を設けたいと考え、本研修会を企画させていただくこととなりました。
先生が研究開発に取り組んでおられる実行機能の向上のプログラムである更新START(Social Thinking & Academic Readiness Training:ソーシャル・シンキングと学習準備のトレーニング)プログラムは、現在では兵庫県加西市の全ての幼稚園で取り入れられているとのことで、その内容は加西市のホームページでも紹介されています(http://www.city.kasai.hyogo.jp/01kura/07kyoi/19star01.htm)。
当日の研修では、まず初めに有名なスタンフォード大学のMischel教授らの「マシュマロテスト」がVTRとともにご紹介され、自己制御能力がその後の人生において占める重要性が説明されました。そして次に自己制御能力と実行機能が子どもの対人関係や学習面に対しどのような影響力をもつかについて、Miyake(2000)の実行機能の3要素モデル「抑制機能・注意の切り替え・ワーキングメモリ」を中心にご説明されました。また自己制御力・実行機能と学習成績の関連についても述べられ、実行機能の高い幼児は小学校入学後も算数・語彙・読みの成績が良いこともデータをもとに説明されました。続いて、実行機能に関連する脳領域とその発達についての解説に移り、実行機能を司る脳領域である前頭前野(前頭連合野)の重要性と脳の発達、特に髄鞘化について詳しいご説明がなされました。そしてそれら実行機能(前頭前野)を育む教育として、ご自身が開発・実践をされているSTARTプログラムを取り上げ、介入研究のデータに基づきプログラムの有効性をご説明されました。そして最後に具体的な介入方法についての話に移り、注意集中のための抑制や情動のコントロールの手法、正しい姿勢を維持するための手法、ワーキングメモリの強化方法などが紹介されました。
心理学的理論から脳科学に至る様々な背景理論について説明された後に、実証的データに基づいた有効性の説明、そして最後に具体的手法についての解説、といった流れでしたので、参加者も非常に納得しやすく、3時間があっという間に過ぎた研修会でした。
◎第3回資格更新研修会(1区分)の開催のお知らせ
日時:令和2年2月15日(土) 13:30~16:30
場所:ラッセホール リリー(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10−8)
※当初予定していた神戸市教育会館から会場が変更になっておりますので、
ご注意ください。
講師:古田直樹先生(京都市児童相談所)
内容:「包括的心理アセスメントと発達支援」
※詳細は兵庫支部のホームページ及び電子メールでお知らせします
◎兵庫支部からのお知らせ
研修会のお知らせは全てメールとホームページでのお知らせのみとなっております。メールアドレスを変更された場合には、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム<SOLTI>から変更手続きをしてください。
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