2018年12月2日日曜日

平成30年度(2018年度)第2回資格更新研修会内容

第2回資格更新研修会が開かれました。
              日時:12月1日(土)13時30分から16時30分
              場所:神戸市教育会館 6階 大ホール
              参加者:兵庫支部 70人  他支部 22人   合計92人

 講義は、「遺伝性疾患の障害特性に基づく支援に向けて」という題で、関西福祉科学大学 教育学部 教育学科 発達支援教育専攻の准教授 加藤美朗先生にお話をしていただきました。専門は特別支援教育学、臨床心理学、心理アセスメントで、特別支援教育の対象となる児童生徒の実態把握と指導、および継続教育に関する研究の他、知的障害、学習障害、注意欠如多動性障害等、発達障害のある児童生徒の行動的支援および家族支援に関する研究をされています。また特に、プラダー・ウィリー症候群(PWS)やスミス・マゲニス症候群(SMS)といった遺伝性疾患のある人の行動的支援に関する研究、発達障害児の保護者を対象としたペアレントトレーニング及び行動的グループ介入などの実践を行なっておられます。主なご著書としては、「支援の必要な子どもの心と行動がわかる!教師のためのサポートガイド」(明治図書)、「認知行動療法を生かした発達障害児・者への支援」(ジアース教育新社)等、多数の書籍を出版されておられます。

 研修会の内容は、先生が主な研究の一つとされている「遺伝性疾患の支援 Prader-Willi syndrome(PWS)(プラダー・ウィリー症候群)」との出会いから現在の研究のお話から始まりました。続いて、知的障害の危険因子や病因論的3分類、全国調査(特別支援学校)の結果、遺伝学、遺伝医学、主な遺伝性疾患の分類について大変丁寧に教えていただきました。

 海外の動向や研究論文の件数、遺伝的検査法の進歩と表現型評価では、「表現型解析(臨床診断)⇆遺伝型解析(遺伝学的検査)」のお話をお聞きしました。さらに、「適切な知的障害観と遺伝性疾患に関する知識」を基にした支援モデルを教えていただきました。障害特性に基づく支援である「合理的配慮」についても、行動表現型の特定により、早期診断に結びつき、行動問題の発現の予測や予防、家族支援に役立つことを教えていただきました。

 各遺伝性疾患の行動問題等の特徴、行動問題等への対応についてのお話では、行動療法(とりわけ応用行動分析)が有効で、医療との連携が大切であること、より一層の研究の大切さを教えていただきました。


 最後にPWSについての支援の実際や現状、保護者の心理や課題、スミス・マゲニス症候群(SMS)の行動問題の生起リスク、アセスメント・モデル、介入例や研究されている特別支援学校に置ける行動コンサルテーションの2事例の紹介がありました。

 印象に残ったのは、行動問題も3分の2は「環境との相互作用」で起こるというお話でした。これらのことから、遺伝性疾患に関する知識と環境調整を行う必要性と大切さを教えていただきました。

 最後に参考文献を教えていただき、インターネットで入手できる遺伝性疾患の情報として、「難病センターホームページ」「GRJ(Gene Review Japan)」のご紹介がありました。ご検索していただければと思います。



第3回資格更新研修会の開催のお知らせ
日時:平成31年2月16日(土)13:30〜16:30
場所:神戸市教育会館(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10−5)
講師:松本 剛(兵庫教育大学 教授)

 第3回資格更新研修会以降はメールとホームページでのお知らせのみとし、郵送でのお知らせを行いません。
 メールアドレスを変更された(変更されている)場合は、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム〈SOLTI〉より変更手続きをお願いいたします。

2018年11月30日金曜日

平成30年度兵庫支部総会及び第1回資格更新研修会が開かれました

5月19日(土)13時15分~   2018年度兵庫支部総会

 定数171 委任状42、出席者47人に達し総会は成立いたしました。
出席していただきました皆様、委任状の提出をしてくださいました皆様、ご協力ありがとうございました。
 総会は、平成30年度兵庫支部役員、兵庫支部規約の改定、2017年活動報告、決算報告が承認され、平成30年度予算案が示されました。最後に兵庫支部会員の現状の報告がありました。その他、2018年度第3回資格更新研修会以降はメールとホームページでのお知らせのみとし、郵送でのお知らせを行わないことが承認されました。
 メールアドレスを変更された(変更されている)場合は、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム〈SOLTI〉より変更手続きをお願いいたします。



13時50分~16時50分 平成30年度兵庫支部 第1回資格更新研修会  

 「子どものうつ病への心理支援」という内容で関西学院大学文学部総合心理学科准教授の佐藤寛先生にお越しいただきました。
 先生は臨床心理士であり、臨床心理学・認知行動療法・臨床児童精神心理学が専門分野で、精神科・心療内科、スクールカウンセラー、大学内心理相談室をこれまで主なフィールドとされていました。児童青年期のうつ病、不安症、摂食障害を主な研究とされています。多くの研究論文、著書、翻訳書を書いておられます。

 今回の研修のために24枚のパワーポイントをご用意していただきました。見過ごされ、気づかれにくい子どものうつのお話から始まり、子どものうつ病の疫学、子どもの不安症とうつ病の併発率とその内容についてのお話がありました。子どものうつのアセスメントでは「子ども用抑うつ自己評価尺度(DSRS)」の利用、うつ病治療のマイナス要因、具体的な3つの事例からうつ病の子どもについて考えるお話がありました。子どものうつ病への心理支援では、IACAPAPのご紹介、認知行動療法(CBT)と子どものCBTの技法、大人のCBTとの違い、薬物療法とCBTの治療成績などのお話がありました。さらに、認知行動療法の実際ということで、子ども向けのプログラムや具体的な認知の変容技法、リラクセーションなどのお話がありました。最後に子どもにCBTを実施する場合の注意点を具体的にお話いただきました。また、参考になる図書も多数ご紹介いただきました。
 今日のお話で、実際の子どもの顔を思い浮かべながら、お話を聞くことができました。このお話で、うつ病の子どもへの支援について深く学ぶことができました。

2018年3月3日土曜日

平成29年度(2017)第3回資格更新研修会内容

 平成30年2月24日(土)神戸市教育会館にて13時30分~14時30分まで
兵庫支部第3回資格更新研修会が開かれました。

兵庫支部 49人 他支部  6人  の参加でした。

 研修内容は、「臨床事例や評価研究から見た犯罪・非行の実態」と題して兵庫教育大学の遊間義一教授にお話しいただきました。
 先生は法務省に勤務され、少年犯罪に関わって、多くの少年院の子どもたちと話をして
こられました。平成26年のデータでは、14歳~19歳人口718万人のうち検挙され、少年院に送致されるのは1万人で全体の0.13%くらいだそうです。この数字だけを見るとこの人たちは、非常にコアな人だと思われますが、決してそうではないという説明でした。その理由は、なぜ犯罪に至ったかを一つひとつ丁寧に見ていくとわかるそうです。
いくつかの事例を挙げて説明していただき、誰にでも起こりえるということが、よくわかりました。後半は、犯罪を繰り返す(可能性の高い)人たちを作らないようにするためには、少年の段階での働きかけが重要であるということを学びました。少年段階で改善すれば犯罪の全体量を大きく減少させることに繋がるというものでした。
 その要素として、愛着の形成と仕事がポイントになるということで、人に愛され必要とされて、生活が安定しているという人間として当たり前のことが大事であることがよくわかりました。

重要なお知らせ
    次回の研修会は、5月19日(土)兵庫教育大学ハーバーランドキャンパス
    で行います。前回お知らせから日時場所が変更になっております。