2019年12月7日土曜日

令和元年度兵庫支部研修会 第2回資格更新研修会


日時:1130日(土)1330分から1630

場所:神戸市教育会館 6階 大ホール

参加者:兵庫支部  67 名  他支部   45 名  合計  112 名





















「自己制御能力・実行機能の発達と支援」というタイトルで、佛教大学教授・兵庫教育大学名誉教授の松村京子先生にお越しいただきました。

 松村先生は日本臨床発達心理士会兵庫支部の前支部長として、本会の発展にご尽力されてこられました。兵庫教育大学を昨年ご退職後、現在は佛教大学において教員養成に携わっておられますが、是非一度、松村先生のお話しを頂戴する機会を設けたいと考え、本研修会を企画させていただくこととなりました。

 先生が研究開発に取り組んでおられる実行機能の向上のプログラムである更新STARTSocial Thinking & Academic Readiness Training:ソーシャル・シンキングと学習準備のトレーニング)プログラムは、現在では兵庫県加西市の全ての幼稚園で取り入れられているとのことで、その内容は加西市のホームページでも紹介されています(http://www.city.kasai.hyogo.jp/01kura/07kyoi/19star01.htm)。


 当日の研修では、まず初めに有名なスタンフォード大学のMischel教授らの「マシュマロテスト」がVTRとともにご紹介され、自己制御能力がその後の人生において占める重要性が説明されました。そして次に自己制御能力と実行機能が子どもの対人関係や学習面に対しどのような影響力をもつかについて、Miyake(2000)の実行機能の3要素モデル「抑制機能・注意の切り替え・ワーキングメモリ」を中心にご説明されました。また自己制御力・実行機能と学習成績の関連についても述べられ、実行機能の高い幼児は小学校入学後も算数・語彙・読みの成績が良いこともデータをもとに説明されました。続いて、実行機能に関連する脳領域とその発達についての解説に移り、実行機能を司る脳領域である前頭前野(前頭連合野)の重要性と脳の発達、特に髄鞘化について詳しいご説明がなされました。そしてそれら実行機能(前頭前野)を育む教育として、ご自身が開発・実践をされているSTARTプログラムを取り上げ、介入研究のデータに基づきプログラムの有効性をご説明されました。そして最後に具体的な介入方法についての話に移り、注意集中のための抑制や情動のコントロールの手法、正しい姿勢を維持するための手法、ワーキングメモリの強化方法などが紹介されました。

心理学的理論から脳科学に至る様々な背景理論について説明された後に、実証的データに基づいた有効性の説明、そして最後に具体的手法についての解説、といった流れでしたので、参加者も非常に納得しやすく、3時間があっという間に過ぎた研修会でした。



◎第3回資格更新研修会(1区分)の開催のお知らせ

日時:令和2215日(土) 13301630

場所:ラッセホール リリー(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10−8

    ※当初予定していた神戸市教育会館から会場が変更になっておりますので、

                ご注意ください。

講師:古田直樹先生(京都市児童相談所)

内容:「包括的心理アセスメントと発達支援」

   ※詳細は兵庫支部のホームページ及び電子メールでお知らせします



兵庫支部からのお知らせ
 研修会のお知らせは全てメールとホームページでのお知らせのみとなっております。メールアドレスを変更された場合には、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム<SOLTI>から変更手続きをしてください。

2019年5月19日日曜日

令和元年度(2019年度)日本臨床発達心理士会兵庫支部総会及び第1回資格更新研修会について

令和元年度 日本臨床発達心理士会 兵庫支部総会

                     日時:令和元年5月12日(日)
                        13時15分から13時45分
                     場所:神戸市教育会館 6階 大ホール
              
 会員数177名 委任状45名、出席者46人に達し総会は成立いたしました。
出席していただきました皆様、委任状の提出をしてくださいました皆様、ご協力ありがとうございました。
 総会は、平成30年度活動報告(平成30年度の兵庫支部総会、資格更新研修会の開催、役員会の開催)、決算報告が承認されました。
 続いて、令和元年度活動計画(案)及び予算(案)、兵庫支部規約 第10条(役員、選出方法、任期)の改定が示されました。
 最後に「兵庫県における公認心理師地方職能団体設置に関する情報・意見交換会」について、情報・意見交換会の開催と現在出席している団体の報告がありました。



令和元年度兵庫支部研修会 
 第1回資格更新研修会(1区分)
              
              日時:5月12日(日)13時50分から16時50分
              場所:神戸市教育会館 6階 大ホール
              参加者:兵庫支部 53名  他支部 13名   合計66名

 「SCERTSモデルを適用した、ASDのある人への包括的な支援」という内容で京都教育大学教育学部非常勤講師、京都教育大学総合教育臨床センターの西山剛司先生にお越しいただきました。
 先生は臨床発達心理士SV(京都支部事務局長)、公認心理師、学校心理士SV、ガイダンスカウンセラーなどの資格をお持ちで、中学校の社会科教員と特別支援学校で教鞭をとられ、特別支援学校においてSCERTSモデルを適用した実践から、現在は教育大学や保育士養成校の非常勤講師をしつつ、SCERTSモデルの研修、保育や子育てに関わる支援者への支援等を行なっておられます。昨年度は東京都の特別支援教育巡回心理士も担当されていました。多くの学会発表と研究論文を書いておられます。
 詳しくは、SCERTS研究会・西ブランチ(https://scerts-west.com)、保育子育てアドバイザー協会関西(https://www.hk-kansai.net/)、ふれあいペアレントプログラム推進研究会(http://fureaipp.main.jp)をご覧ください。

 今回の研修のために107枚のパワーポイントをご用意していただきました。「自閉症教育の現在とSCERTS開発の背景」「SCERTSモデル 構成と理念」「立場と特徴」「『自閉症のある』児童への支援」の内容についてのお話がありました。
 「自閉症教育の現在とSCERTS開発の背景」では、SCERTSモデル、EBP(エビデンスベーストプラクティス)のお話でした。「エビデンスのある方法≠エビデンスベーストプラクティス」や「自閉症である前に一人の子どもである」ということから実態に応じた方法(エビデンスのある)の取捨選択の内容でした。
 「SCERTSモデル 構成と理念」では、扱う領域として「Social Communication」社会的コミュニケーション、「Emotional Regulation」情動調整、「Transactional Support」交流型支援、開発の背景、3つの段階(社会パートナー段階、言語パートナー段階、会話パートナー段階)のそれぞれのお話でした。
 「立場と特徴」では、「すべての子に有効な方法はない」というお話が印象に残りました。また、「SCERTSモデルは、他のアプローチや方略に排他的ではない」ことで、様々な分野の知識・技術を尊重し、チームアプローチとしても最も機能するようにデザインされているもので、「OS」と「アプリ」の関係でいうと、「OS」の基本ソフトはSCERTS、「アプリ」の応用ソフトは様々なエビデンスのある技法や方略というお話でした。さらに多様な次元の連続体を仮定することは、子どもに対するプログラムのより卓越した柔軟性と個別化を可能にするというお話でした。
「自閉症のある児童への支援」では、ASD児へSCERTSモデルを適用した多くの事例のお話でした。実態と支援方法、その結果など大変詳しくお話をしていただきました。
 最後に「効果的な介入技法」の「使い方」の功罪で、「構造化」で見えない檻を作るお話、誰のために行動変容するのかのお話では、効果的な介入方法の適用について考えさせられる内容でした。これまでの自分自身の支援を振り返ることのできるお話でした。


◎第2回資格更新研修会(1区分)の開催のお知らせ
 日時:令和元年11月30日(土) 13:30〜16:30
 場所:神戸市教育会館大ホール(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10−5)
 内容及び講師:未定
 (決まり次第、兵庫支部のホームページ及び電子メールでお知らせします)


◎兵庫支部からのお知らせ
 研修会のお知らせは全てメールとホームページでのお知らせのみとなっておりますメールアドレスを変更された場合には、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム<SOLTI>から変更手続きをしてください。








2019年2月24日日曜日

平成30年度(2018年度) 第3回資格更新研修会内容

第3回資格更新研修会(1区分)が開かれました。
              日時:2月16日(土)13時30分から16時30分
              場所:神戸市教育会館 6階 大ホール
              参加者:兵庫支部 50人  他支部 13人   合計63人


 講義は、「“今ここ”の自分自身へのアプローチ」という題で、兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 教授 松本剛先生にお話をしていただきました。
 松本先生は人間性心理学を中心とした臨床心理学、および教育相談や学生相談といった教育臨床を中心に研究を進められておられます。
 今回は人間性心理学の立場での心理療法である「今ここの私自身」にかかわることへの援助について、これまで生きてきた歴史の積み重ねの上に今の私があるという考えだけに沿った人間観だけではなく、「今ここ」の自分自身の感覚にアプローチする心理療法の効果と重要性が見直されていることから、人間性心理学の観点からの「これまで積み重ねてきた私」へのアプローチについてご紹介いただき,臨床発達心理学の観点との融合の研修内容でした。
 主なご著書としては、「教師のコミュニケーションを『高める』とは」慶應義塾大学出版会編「教育と医学」「『大学生のひきこもり』への人間性心理学的アプローチの有効性」日本学生相談学会編「学生相談研究」、「大学生のひきこもりに関連する心理的特性に関する研究」日本カウンセリング学会編「カウンセリング研究」等があります。

 研修会の内容は、「過去」のできごとへの固執、「未来」への心配、今の私の感覚、自我防衛機制(今への適応行動)、「今ここ」への焦点化、「今ここ」の私自身と仲よくなる(Rogers,C)「心理的不適応」「心理的適応」のお話から、「今ここ」にある私の体験への注目 感覚↔︎自分自身が本当に感じていること 自分の感覚を受け入れることについて、人生脚本として「ストローク」「人生脚本」「禁止令」「12の禁止令」「ラケット感情」「4つの本物の感情」「面接過程」「基本理念」についてお話をいただきました。
 ワークでは、絵本「ish」の各シーンから、「体の感じ」「その感じのオノマトペ」「セリフ」を考え、席の近くの人と交流しました。さらに、この方法で今、自分が気になっていることを『「気になること」を感じてみよう』ということで自分自身のことを考えるワークを行いました。
 発達という観点から「今ここ」からのアプローチについて非常に多くのことを学ぶことができました。


平成31年度兵庫支部総会、第1回資格更新研修会(1区分)の開催のお知らせ(予定)
日時:平成31年5月12日(日)13:15〜16:50
場所:神戸市教育会館(〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通4丁目10−5)
・兵庫支部総会 13:15〜
・第1回資格更新研修会 13:50〜


◎兵庫支部からのお知らせ
 これまで研修会のお知らせは郵送にて行っておりましたが、平成30年5月19日に開催されました兵庫支部総会にて承認されたように、今回の第3回資格更新研修会以降は全てメールとホームページでのお知らせのみとなっておりますメールアドレスを変更された場合には、臨床発達心理士認定運営機構ホームページにあります資格情報管理システム<SOLTI>から変更手続きをしてください。なお、今年度に入ってからメールアドレスを変更された場合には、兵庫支部事務局にもメールでご連絡くださいますようお願いいたします。