2012年5月3日木曜日

児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携に関する厚労・文科連名通知について

日本臨床発達心理士会長崎幹事長より連絡がありましたので、お知らせします。 

4月18日付けで、厚生労働省と文部科学省連名で通知が出されました。
児童福祉法等の改正が、平成24年4月1日付けで施行になったことから、両省連名で通知されたもので、障害児施設の一元化、放課後等デイサービスの創設、
「障害児支援利用計画等」、「個別支援計画」の作成も定められています。
学校と障害児通所支援を提供する事業所や障害児入所施設等が緊密な連携を図るとともに、学校等で作成する個別の教育支援計画及び個別の指導計画と障害児相談支援事業所で作成する障害児支援利用計画及び障害児通所支援事業所等で作成する個別支援計画が、個人情報に留意しつつ連携していくことが望ましいとする通知です。
重要な通知であると思われますので、支部会員への周知をお願い致します。

                                                                                                     事務連絡
                                                                                                     平成24年4月18日
都道府県
各 指定都市   障害児福祉主管課  御中
中 核 市

都道府県教育委員会担当課
各 指定都市教育委員会担当課
都道府県私立学校主管課
附属学校を置く各国立大学法人担当課    御中
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた地方公共団体の
学校設置会社主管課


                                                  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

                                                  文部科学省初等中等教育局特別支援教育課


児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について


平成22年12月10日に公布された「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(平成22年法律第71号)により、児童福祉法及び障害者自立支援法の一部が改正(以下「改正法」という。)され、本年4月から相談支援の充実及び障害児支援の強化が図られたところです。
相談支援の充実及び障害児支援の強化の具体的な内容及び教育と福祉の連携に係る留意事項等については下記のとおりですが、これらの改正された内容が機能し、障害児支援が適切に行われるためには、学校と障害児通所支援を提供する事業所や障害児入所施設、居宅サービスを提供する事業所(以下「障害児通所支援事業所等」という。)が緊密な連携を図るとともに、学校等で作成する個別の教育支援計画及び個別の指導計画(以下「個別の教育支援計画等」という。)と障害児相談支援事業所で作成する障害児支援利用計画及び障害児通所支援事業所等で作成する個別支援計画(以下「障害児支援利用計画等」という。)が、個人情報に留意しつつ連携していくことが望ましいと考えます。
つきましては、都道府県障害児福祉主管課においては管内市町村に対し、都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会においては所管の学校に対し、また、都道府県教育委員会においては域内の市町村教育委員会に対し、都道府県私立学校主管課、附属学校を置く国立大学法人担当課及び構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の学校設置会社主管課においては所轄の学校に対し周知をお願いします。また、各都道府県及び市町村の福祉部局においては、教育部局に対し新制度について説明・情報提供するなど、福祉行政と教育行政の相互連携に配意いただけるようお願いします。

                                                                          記

1 相談支援の充実について

改正法により、本年4月から児童福祉法に基づく障害児通所支援又は障害者自立支援法に基づく居宅サービス等の障害福祉サービスを利用するすべての障害児に対し、原則として、「障害児支援利用計画等」を作成することになりました。障害児支援利用計画等の作成に当たっては、様々な生活場面に沿って一貫した支援を提供すること、障害児とその家族の地域生活を支える観点から、福祉サービスだけでなく、教育や医療等の関連分野に跨る個々のニーズを反映させることが重要です。特に学齢期においては、障害児支援利用計画等と個別の教育支援計画等の内容との連動が必要であり、障害児支援利用計画等の作成を担当する相談支援事業所と個別の教育支援計画等の作成を担当する学校等が密接に連絡調整を行い、就学前の福祉サービス利用から就学への移行、学齢期に利用する福祉サービスとの連携、さらには学校卒業に当たって地域生活に向けた福祉サービス利用への移行が円滑に進むよう、保護者の了解を得つつ、特段の配慮をお願いします。

2 障害児支援の強化について

(1)児童福祉法における障害児に関する定義規定の見直し

本年4月から児童福祉法第4条第2項に規定する障害児の定義規定が見直され、従前の「身体に障害のある児童及び知的障害のある児童」に加え、「精神に障害のある児童(発達障害者支援法第2条第2項に規定する発達障害児を含む。)」を追加することとなり、発達障害児についても障害児支援の対象として児童福祉法に位置づけられました。

(2)障害児施設の一元化

障害児施設の施設体系は、従前は知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設等の障害種別で分かれていましたが、本年4月から、身近な地域で支援を受けられるようにする等のため、障害児施設体系については、通所による支援を「障害児通所支援」に、入所による支援を「障害児入所支援」にそれぞれ一元化することとなりました。
(3)放課後等デイサービスの創設

改正法により、学齢期における障害児の放課後等対策の強化を図るため、障害
児通所支援の一つとして、本年4月から「放課後等デイサービス」が創設されました。放課後等デイサービスの対象は、児童福祉法上、「学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児」とされ、授業の終了後又は休業日に生活能力の向上のための必要な訓練、社会との交流の促進等を行うこととなりました。
放課後等デイサービスの利用は、学校教育との時間的な連続性があることから、特別支援学校等における教育課程と放課後等デイサービス事業所における支援内容との一貫性を確保するとともにそれぞれの役割分担が重要です。個々の障害児のニーズを踏まえた放課後等の過ごし方について、特別支援学校等と放課後等デイサービス事業所、保護者等との間で十分に協議するなど必要な連携を図るようお願いします。
また、従前の障害者自立支援法に基づく児童デイサービスにおいては、特別支援学校等と児童デイサービス事業所間の送迎は加算(※1)の対象でありませんでした。放課後等デイサービスの創設に伴い、本年4月から、特別支援学校等と放課後等デイサービス事業所間の送迎を新たに加算の対象とすることとなりましたので、学校と事業所間の送迎が円滑に行われるようご配慮願います。

<加算対象の要件>

保護者等が就労等により送迎ができない場合であって、以下のいずれかに該当し、それが障害児支援利用計画に記載されている場合(※2)に加算の対象となります。
① スクールバスのルート上に事業所がない等、スクールバス等での送迎が実施できない場合
② スクールバス等での送迎が可能であっても、放課後等デイサービスを利用しない他の障害児の乗車時間が相当時間延長する等、スクールバスによる送迎が適切でない場合
③ 学校と放課後等デイサービス事業所間の送迎が通学から外れるなど特別支援教育就学奨励費の対象とならない場合
④ その他市町村が必要と認める場合(※3)
(※1) 送迎加算は、児童デイサービス事業所が障害児を送迎車等により事業所へ送迎した場合に、事業所が市町村に対して児童デイサービス費の中で加算として請求できることになっています。これまでは、自宅と事業所間の送迎のみ加算の対象としていました。
(※2) 障害児支援利用計画が作成されていない場合は、学校と事業所、保護者の三者の間で調整し、放課後等デイサービス支援計画に記載していることで足りるものとします。
(※3) ④は、例えば、学校長と市町村が協議し、学校と事業者との間の途中までスクールバスによる送迎を行ったが、事業所までまだ相当の距離があり、事業所による送迎が必要であると認められる場合等が考えられます。

(4)保育所等訪問支援の創設

改正法により、保育所等における集団生活への適応支援を図るため、障害児通所支援の一つとして、本年4月から「保育所等訪問支援」が創設されました。このサービスは、訪問支援員(障害児の支援に相当の知識・技術及び経験のある児童指導員・保育士、機能訓練担当職員等)が保育所等を定期的に訪問し、集団生活への適応のための専門的な支援を行うものです。訪問先として、保育所や幼稚園などの就学前の子どもが通う施設の他、就学後であっても就学前の支援方法を引き継ぐなど円滑な移行を図る必要がある等の場合には小学校等への訪問も想定しています。支援内容は、授業の補助や介助業務ではなく、①障害児本人に対する支援(集団適応のための必要な訓練等)、②訪問先施設の職員に対する支援(支援方法等に関する情報共有や指導等)の専門的な支援を行うこととなります。
このサービスが効果的に行われるためには、保育所等訪問支援の訪問先施設の理解と協力が不可欠であり、該当する障害児の状況の把握や支援方法等について、訪問先施設と保育所等訪問支援事業所、保護者との間で情報共有するとともに、十分調整した上で、必要な対応がなされるよう配慮をお願いします。

(5)個別支援計画の作成

障害児通所支援事業所等における計画的な支援と質の向上を図るため、障害児通所支援事業所等に児童発達支援管理責任者を配置することが義務付けられました。これにより障害児通所支援事業所等を利用するすべての障害児に対し、利用者及びその家族のニーズ等を反映させた障害児入所支援及び障害児通所支援に係る個別支援計画を作成し、効果的かつ適切に障害児支援を行うとともに、支援に関する客観的評価を行うこととなります。
学齢期の障害児が障害児通所支援事業所等を並行して利用する場合も想定されることから、障害児通所支援事業所等の児童発達支援管理責任者と教員等が連携し、障害児通所支援等における個別支援計画と学校における個別の教育支援計画等との連携を保護者の了解を得つつ確保し、相乗的な効果が得られるよう、必要な配慮をお願いします。
本法律の概要や施行のための関係情報については、以下のURLに掲載されております。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsukaiseihou/index.html

                                                                      本件連絡先

                                                                     【福祉関係】
                                                                     厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
                                                                     障害福祉課地域移行・障害児支援室障害児支援係
                                                                    (電話)03-3595-2608
                                                                   (FAX)03-3591-8914

                                                                    【教育関係】
                                                                    文部科学省初等中等教育局
                                                                    特別支援教育課振興係
                                                                    (電話)03-6734-3192
                                                                     (FAX)03-6734-3737

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